洋上風力発電の特徴と日本に適している理由

最終更新日 2025年5月20日 by nwpcar
洋上風力発電は海の上で発電することができる方法です。
従来の風力発電は陸地に設備を建設する必要がありましたが、こちらの方法であれば海洋上に発電設備を設けることができます。
2050年にはこれを日本の電力源とすることを目的として、現在では研究開発が進められていることを知っておきましょう。
今後ますます注目されることになる発電方法なので、特徴や日本に適している理由を知っておくことがおすすめだと言えます。
目次
陸地に設置する場合よりも風を集めやすい
風力発電ではブレードと呼ばれる部分が回転することで電気をつくることができますが、洋上風力発電の場合は陸地に設置する場合よりも風を集めやすいことが特徴的です。
陸地よりもしっかりと風を集めることができればブレードの回転数をアップさせることができ、効率的に発電していくことができます。
洋上風力発電には着床式と浮体式の2種類があり、最初に開発された着床式は海底に直接発電設備を建設する必要があるものです。
一方で、浮体式は海底に固定した浮体構造物の上に設備を設ける方法だと言えます。
着床式は浅い海でなければ利用することができませんでしたが、浮体式の開発によって深い海でも風力発電を取り入れることができるようになりました。
この発電方法は従来の風力発電と同様に再生可能エネルギーを使用した発電方法であり、化石燃料の燃焼による二酸化炭素発生が起こらない、化石燃料の消費スピードを減らすことができるというメリットがあります。
再生可能エネルギーを利用した発電方法には様々なものがありますが、太陽光発電と比べて時間の制限を受けづらい、他の設備と違って陸地を利用する必要がない、比較的変換効率が良いなどの魅力があることを知っておくと良いでしょう。
国土面積が狭い日本でも十分な設備を所有することが可能
日本でも温室効果ガス排出抑制や安定した電力供給のために新たな発電方法の整備が求められていますが、その中でも洋上風力発電は日本にピッタリなものだと言われています。
海洋上に設備を設置する方法を選択するのであれば、国土面積が狭い日本でも十分な設備を所有することが可能です。
従来の風力や太陽光などを利用した方法は陸地に設備を建設する必要があるので、国土面積が狭い日本では十分な設備を確保することが難しいと言えます。
日本は国土面積は狭いものの、排他的経済水域は世界でも6位という広い面積を保有していることが特徴的です。
十分な陸地はありませんが海であれば活用できる部分が多いので、国土面積が狭くて排他的経済水域が大きい日本に最適だと言えます。
浮体式であれば深い海が多い日本でも問題なく運用していくことが可能
初めに開発された着床式は浅い海が多いヨーロッパなどに向いているタイプであり、浅い海が少ない日本では取り入れることが難しかったと言えますが、後から開発された浮体式であれば深い海が多い日本でも問題なく運用していくことが可能です。
浮体式が登場したことによって、浅い場所以外に設置できないという問題をクリアすることができました。
そして、これまでには国内の発電所で騒音や景観に関する問題も起きていましたが、洋上に設置するのであれば従来の設備よりも発電時の音が近隣住民に届きづらいですし、陸地から数キロメートル離れたところに設置することになるので景観を損ねる心配もありません。
広い排他的経済水域を活用してたくさんの設備を設置することによって、コンスタントに電気をつくり出すことができるので、この方法によって日本の発電事情が大きく変化していく可能性があります。
洋上風力発電の注意点について
ただし、洋上風力発電を取り入れるためにはいくつかの注意点もあることを理解しておくべきです。
現在は研究開発が進められている段階なので、未知な部分も非常に多いと言えます。
実証実験も行われていますが、海洋生物や海を渡る鳥に影響があるかどうか、発電設備から発せられる低周波数の音が近隣住民に被害を与えることがないかなど、きちんと調べていく必要があるでしょう。
2021年に実証実験が終了する地域もありますが、実証実験の結果を踏まえて課題を見つけ出したり、問題を解決したりすることによって実用化に近づけていくことができるはずです。
とても優れた発電方法の1つだと言えますが、今すぐ実用化することはできないこと、今後も研究が必要になることは理解しておく必要があります。
まとめ
日本では複数の手法で電力源を確保していますが、今後は主要な発電方法を火力発電から再生可能エネルギーを利用した発電に切り替えていくことが重要です。
今でも少しずつ再生可能エネルギーを活用した発電の割合が増えていますが、火力発電や原子力発電にも頼らなければならないことが現状だと言えます。
洋上風力発電の研究開発が進み、実用化が行われるようになれば日本の発電事情が大きく変わる可能性が高いです。
これから先も研究や実証実験が盛んに行われていくことになるので、エネルギー問題や環境問題に興味があるのであれば、海洋上の風力発電について情報をこまめにチェックしておくことがおすすめだと言えます。