ユニセフと日本ユニセフとの関係は?

最終更新日 2025年5月20日 by nwpcar
ユニセフというのは、国連の補助機関で国際連合児童基金(United Nations Children’s Fund)の略称です。
創設は1946年12月11日で、当初は国際連合国際児童基金(United Nations International Children’s Emergency Fund)として、第二次世界大戦後に行われた緊急援助のうち子どもを対象としていたものがルーツになります。
日本でも1949年から1964年にかけて脱脂粉乳や医薬品などの物資援助を受け、多くの子どもたちの栄養や衛生面でのサポートを受けています。
目次
第二次世界大戦後の混乱期以降の活動
戦後の混乱が終わると行ってきた緊急援助が行き渡ることで活動範囲が広がったため、当初の緊急援助という側面は薄れ1953年に現在の名称となったものです。
第二次世界大戦後の混乱期以降の活動は、開発途上国や戦争や内戦などで被害を受けている国や地域の子どもを支援する活動がメインとなっています。
また物質的な支援ではなく、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の普及活動や正しい知識の普及などの啓蒙活動など物質以外の活動も盛んに行われている組織です。
公益財団法人日本ユニセフ協会について
一方で日本ユニセフは、正式には公益財団法人日本ユニセフ協会という組織であり直接的には国連のユニセフとは同一の組織ではありません。
しかし、まったく無関係というわけではなくユニセフの活動を支援することを目的としたものです。
日本ユニセフの活動としては寄附金の募集や広報、啓蒙活動や日本政府に対して子どもに関する政策提言の協力などとなっています。
開発途上国や戦争や内戦といった国や地域での直接の活動には参加していませんが、ユニセフの活動を日本から資金面でサポートしている組織です。
日本ユニセフのルーツ
また日本ユニセフのルーツはユニセフから支援を受けていた1949年当時に、財団法人日本国際連合協会が支援物資の提供元に礼状を書いた事が起源とされており、1950年には日本国際連合協会から独立し任意団体となり共同募金をユニセフに送金する運動を行っています。
この時点では日本は支援を受ける側であったので、その寄附金は日本での援助に充てられていましたが、戦後復興と高度成長期とともに支援を受ける必要がなくなると拠出に転じることになります。
組織としては1955年に財団法人化し、1977年に国連のユニセフ本部の承認を受けて正式なユニセフ委員会となり、2011年に公益財団法人となり現在に至るものです。
本部に正式に承認されており協力協定を結んでいる団体
直接的にはユニセフの下部組織ではありませんが、正式に承認されており協力協定を結んでいる団体です。
このような直接的な下部組織ではない団体があるのはアジアでは日本と韓国だけで、他では直接の支部が置かれていますし日本にも支部ではなく直接の下部組織である東京事務所が置かれているなど、複雑な関係から日本ユニセフの位置づけに理解を示されない原因ともなっています。
なお、日本のような直接の下部組織ではない団体が寄附金を集める活動を行っているのは日本だけのケースではなく世界に36団体あるものです。
このような状況になっている理由としては、ユニセフの活動は開発途上国や戦争・内戦といった子どもの権利がないがしろにされる地域において物質的また知識の啓蒙といった活動を行うことを目的としているため、先進国においては主に寄附金を集めて活動資金を得ることとしており、子どもに対する支援活動そのものは殆ど行われません。
集められた寄附金の使いみちはユニセフに委ねられている
このため支部が直接設けられず、現地の団体が寄附金や募金の窓口となることがあり、日本はそのケースに当てはまります。
ただし、子どもに対する物質的な支援活動は行われないものの先進国でも起こりる児童虐待といった子どもの権利を脅かすような問題に対して改善を求めるための政策提言を行ったり、防止するための啓蒙活動などは行われています。
基本的には日本ユニセフは国連組織であるユニセフの直接的な下部組織ではありませんし、その活動も当地の法律に則って運営されている団体です。
ただし直接の関係のない別組織ではあるもののまったく無関係というものではなく承認されている正式な団体であり、資金面でその活動を支えるだけでなく日本での政策提言を行うような場合には共同で行うなど密接な関係にあります。
一方で集められた寄附金の使いみちはユニセフに委ねられているため、団体が自由に使えるものではありません。
集められた寄附金は、団体を運営するために必要な費用を除いてすべて送金され、はいそれらは開発途上国や戦争や内戦による国や地域の子どもたちを援助するために使われるものです。
まとめ
集められた寄附金を含めた収入の用途については公開されており、2012年度では約161億円を集めており、そのうち8割りの130億円はユニセフ本部に拠出されています。
これは世界に36ある同様の組織の中では最高額となっており、ユニセフの活動を支える重要な役割を果たしています。